2022年04月12日

浮かぶ竜宮城「遣唐使船」

浮かぶ竜宮城「遣唐使船」
展No.1で入口近くに飾られた「遣唐使船」が目に入った。ブラウン系の西洋型帆船模型が多いなかで朱と白が基調のこの船は鮮やかだ。製作者の高成田さんによると、平城京跡歴史公園や呉の倉橋島にある復元船を参考にされたという。
浮かぶ竜宮城「遣唐使船」
の船にはなつかしい思い出がある。上の写真は1983年、伊豆の松崎で撮ったものだ。建造した岡村造船所の岡村宗一さんの話によると、先年開催された神戸ポートピア81でIBM館に展示する遣唐使船を受注したという。岡村さんはNHK大河ドラマ「黄金の日々」用に御朱印船も作った人だ。神戸でIBMと共に監修した専門家の先生方は「船底の構造は未だよくわからない」ということで展示船は底がない形で完成させた。その後、東映から映画「空海」の撮影用に遣唐使船の製作を受注したが、今度は底のある遣唐使船を作ることになった。「全長30mあり実際に人が乗って海上を航行するとなると海運局の許可が必要なので、既製の船に構造物やエンジンをのせましたよ」という。高成田さんの遣唐使船はよく出来ている。実際に奈良の海龍王寺に奉納する予定だそうだ。
浮かぶ竜宮城「遣唐使船」
船ばかりでなく色々な船の模型が並ぶのがザ・ロープ展の楽しさだ。「明治丸」は霞さんの自作模型。爆末から明治にかけて外国から無数に買い入れた商船や軍艦があったが、そのほとんどは中古船で明治丸のように新造船は少ない。この船は灯台巡視のためにイギリスに発注された1235トンの機帆船。船名は明治天皇がお召し船にされたため。新造当時は2檣トップスル・スクーナーだったが後に3檣シップになった。しかし、この時期の船は歴史的には有意義だが展示船としては地味な印象だ。霞さん、よくお作りになりました!
浮かぶ竜宮城「遣唐使船」
場の一画では写真担当の会員が仲間の作品を一隻一隻ていねいに記録していた。こうして毎年の出展模型が40数年間も大事に残されて行くのだろう。かつてはキングスホビーと言われたり、近寄りがたい模型クラブの印象だったザ・ロープの会員もすっかり老練の域に達した。「今年は20代の新人の大胆な作品が展示されてます。我々にも大変刺激になりますよ。いまは若い会員の勧誘活動を真剣にやってます」と栗田会長が楽しげに話してくれた。(次回につづく)





Posted by はじめ at 10:30│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
浮かぶ竜宮城「遣唐使船」
    コメント(0)