2020年02月28日

小型クルーズ船の静かな人気  

昔ばなし「舌切り雀」では、スズメが親切なお爺さんに助けられたお礼に大きなつづら小さなつづらのどちらかを選ばせた。たいていの人間は大きいつづらを選んでしまう。クルーズ会社の重役さんたちもそう考え、近年の客船は10万トンを超え、15万トンを超え、20万トンも超えた。乗船客数も3千人、5千人、6千人と果てしない。「1ダースなら安くなる」薄利多売は昔から商売成功の法則だった。

でも大きな船はなんかあった時には騒ぎが大きくなるのが困るね。その対応というわけじゃないが業界では小型船が静かに人気を集めている。小型船には二つの流れがある。ひとつはエクスペディション船(探検クルーズ船とでも言おうか)というジャンルだ。そう、1990年、NYKが初代飛鳥と同時期に造ったフロンティア・スピリット(現在はハパク・ロイド社が所有するブレーメン)はそのはしりだ。南極海クルーズも可能な耐氷海航行構造をもつ5千トン前後で船客定員100名位が標準だ。今年末にはウルトラマリン(1万3千トン;船客定員200名:クオーク・エクスペディション社)が就航する予定。

もう一つの流れはYacht(ヨット)と呼ばれるラグジュアリー仕様船だ。こちらは最大200名程度乗れるほど大きなものもあり、料金は飛行機のビジネスクラス以上に高くなる。この領域はポナンやクリスタルが熱心で、来年あたりにはホテル界の老舗リッツ・カールトンも進出する模様。来年はエメラルド・アズーラ(船客定員100名)がデビューする予定。同社は長年ヨーロッパのリバークルーズで実績を積んだ会社。このおしゃれな小型船で地中海から紅海、中東の小港まで新しい旅先を広げる計画だ。小型クルーズ船には他に探検クルーズとラグジュアリーを兼ねた船もある。どちらもじわじわと増えている。  


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2020年02月23日

第45回ザ・ロープ帆船模型展  

今年のザ・ロープ帆船模型展の案内ハガキをいただいた。



名実ともに日本で代表的な帆船モデラーが集うザ・ロープが、年に一度開催する作品発表会。
4月12日(日)から18日(土))までの7日間、

会場は今年も有楽町の東京交通会館地階ゴールドサロンです。
今年も楽しみだなあ!
  


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2020年02月21日

ヨーテボリのヨーテボリ 

気の重くなる話題をさけ、気分転換に古い船の話をしよう。
船好きのボクは昔の船を見るためにずいぶんあちこち回ってきた。昔の船といっても日本丸や氷川丸のような鉄の船にはあまり食指がうごかない。いちばん好きなのは木造帆装フリゲート艦だ。これはボストンのコンスティチューションが筆頭で、あとは両手の指で足りてしまうほど少ない。ほかに同類は無いものかとネットの海をあちらこちら渡りあるいて探したら、フリゲート艦ではないが出来の良さそうな帆船をみっけた。それがこれ、スウエーデンのヨーテボリ号だ。

ヨーテボリのオリジナルは1738年にストックホルムで進水したEast Indiaman(東インド会社の貿易船)で、全長約40m、約850トンで3本マストのカラベルだ。完成後3回の中国往復航海を行い、3回目の帰路に母港を目の前にして座礁して沈没した。1745年9月のことだった。積載していた貨物の一部は後に引き上げられたが船体は揚げることなく終わっている。

1995年、この歴史的な船を再建しようという声が高まり、復元船ヨーテボリが起工された。昔ながらの工法と近代船の航海設備(例えばボルボのディーゼル発電機4基など)を採用し2003年進水、2005年完成し念願の中国訪問航海に出発、ブラジル、南アフリカ、オーストラリア、インドネシアから広州、上海をめぐる二年間の長旅を終えて母国に戻った。現在はヨーテボリ港のピア2に係留されている模様。写真でみるとアムステルダム海洋博物館が展示してるイースト・インディアマンよりも出来栄えがいいようだ。機会あれば一度お目にかかりたい船です。

  


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2020年02月14日

地球環境対策船  

2020年はクルマのEパワー化がスピードアップしているが、海の上での地球環境対策はゆっくりと進んでいる。


たくさんのフィヨルドを有するノルウエイなどは、自然環境保持のために観光クルーズ船が海域に接近することに強い制限を検討している。そのなかには重油燃料船の進入禁止や、乗客数による大型船の規制もあげているようだ。すでにノルウエイの沿岸急行船フッティルーテンでは全電動推進船の実験運用も始めている。

大型クルーズ船の対策化も始まった。新造船コスタ・スメラルダ(18万3千トン;乗客5224名・先日チビタベッキアで新型コロナウイルス発症騒ぎを起こしたのは気の毒だった)は2019年進水の大型船中唯一のLNG焚きクルーズ船だ。船内に大きな3個の燃料タンクを備え3,200m3のLNGガスを貯蔵し、満タンで約二週間の航海ができる。これによって二酸化炭素や窒素酸化物、一酸化硫黄などの有害排気物が極端に減少するという。スメラルダのあとを追って今年デビューする新造船でも、イオニア(18万3千トン:P&O)マルディ・グラ(18万3千トン:カーニバル)もLNG燃料船である。(情報はCruise Industry News,Cruise Ship Portalより)  


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2020年02月11日

さまよえるオランダ船  

新型コロナウイルス患者の発生を疑われるホーランド・アメリカのウエステルダム(8万2千トン:船客1455名うち日本人5名)は、マニラ入港を拒まれたあと那覇入港も拒否され、グアム島寄港を打診したが、これも断られ途方にくれていたが8日になってタイ政府がレムチャバン入港を認めるという連絡を受けた。(タイ保健相は入港を拒否するという別の報道もある)。レムチャバン入港は2月13日の見込み。同船は2月1日に香港を出港してからおよそ2週間、アジアの海をさまよったことになる。(情報はPacific Daily News,cruisejunkie com. より)
Up Date:12日になりカンボジヤ政府が寄港を許可すると発表。ウエステルダムはシアヌークビルへ向かった。ああ、よかったな

心配なのはにっぽん丸だ。同船はメキシコから2月8日朝ホノルル港のピア2Cに接岸した。港湾当局によればにっぽん丸には新型コロナウイルスの症状のある乗客はないとのことだが、船長の自主的判断により乗客の上陸を取りやめ同じ日の夕刻5時にホノルルを出港したという。せっかくのハワイ寄港なのに、にっぽん丸船長は一体何を警戒したのだろう?奇怪な話デス。(情報はStar Advertiser)  


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2020年02月07日

飛鳥II 幸運なお色直し  

飛鳥IIは1月27日からシンガポールの乾ドックで大掛かりな点検整備にはいった。

1990年クリスタル・ハーモニーとしてデビューしてから30年の節目を迎える飛鳥IIだ。公開された作業写真を見ると煙突の解体作業が写っている。どうやら排気装置に新しくスクラバー(有害ガス洗浄システム)を取り付ける様子。スクラバーを装備すればトンあたり500ドルもする高額な低硫黄燃料は半額ほどの安い燃料で済む。今回の整備はスクラバー工事のほかプレミアダイニング、コンピュータプラザ、グランドスパなどインテリアのアップグレードや船体塗装などで約60日間を予定している。クルーズ業界も新型コロナウイルス騒動で右往左往するとき、ドックで整備休養できるとは運が良い。新生飛鳥IIは3月19日横浜出航「春の休日 駿河湾クルーズ」から登場だ。その頃までに新型肺炎騒動がおさまるか、それはわからない。(情報はCruise Industry Newsより)  


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2020年02月06日

クルーズ船 受難時代  

横浜で立ち往生したダイヤモンド・プリンセスと同じような事態があちらこちらで起きている。

2月1日カリブ海のセントビンセント・グラナディを発ってセントルシア・カストリースに向かっていたアイーダペリア(三菱長崎で建造した12万4千トン:船客定員3,300名)は、保健局職員による検査で呼吸器疾患患者と、通常より高体温の船客が数名確認されたためカストリース入港を拒まれた。同船は速度を落としたり一時停船しながら状況判断をしながら港湾当局と交渉を続けている。カストリース抜港の場合、次の寄港先に予定したアンチグア島バーブーダの港湾当局は4日に保健衛生上の問題でアイーダペリアの入港拒否を発表した。

2月1日、香港を発ってマニラに向かっていたウエステルダム(8万2千トン:船客定員1900名)は航行中の船内で次の寄港先マニラから入港を拒否されたという船長アナウンスがあった模様。詳細は不明。悲しいかな、クルーズ船が港々でババ抜きされるような受難時代。
(情報はJamaica Gleaner,Maritime Bulletin,ABCより)  


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2020年02月03日

ひとりの患者で全員カンヅメ  

1月30日、ローマに近いチビタベッキア港に停泊したコスタ・スメラルダ(18万3千トン:乗客定員5,224名)で新型肺炎が疑われる症状の患者がみつかった。患者は香港に住む中国人女性でパートナーの男性と二人でミラノ経由でジェノヴァに移動してから乗船したもの。男性に症状はでないが、女性はローマの病院に緊急搬送され隔離入院された。気の毒なのは残りの船客全員だ。女性患者の検査結果がでるまで全員が船に足止めされた。乗客乗員合わせて6千人もの人が船から降りられないというニュースが世界中を巡った。

実はボクも大西洋クルーズ中に船内で発生したノロウイルス騒ぎ巻き込まれた経験者だ。ボクは検査結果がでるまで船室にカンヅメ状態。その間、部屋は毎日衛生係が消毒にやってくるし、朝昼晩簡素な食事が届く収容所並みの生活だった。船は予定した寄港先に入港を拒否され大海原をさまよった。(スメラルダのようにローマ近郊で足止めもつらいね)イタリアでの続報によるとくだんの女性の検査結果は心配するほどのことでないとわかり6千人の足止めは解除されたという。よかった、よかった。でも、同じような事件はこれからも続きそうだな。(情報はcruisejunkie com.,ANSAより)  


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