2023年05月26日

アバクロの冒険クルーズ  

かし若い頃ニューヨークに行くと、用もないのに立ち寄る店があった。それは五番街のアバクロンビー・アンド・フィッチ(A&F)で、周囲にはティファニーやカルティエなど有名店が軒を並べる敷居の高い一画だった。店内はちょうど銀座の服部時計店みたいな雰囲気で、それに日本橋の丸善と渋谷の東急ハンズをミックスしたような品揃えが魅力だった。或る売り場にはレミントンのライフル銃からテント、釣り道具やアルミ製カヌーまで展示してあり、ヘミングウエイが常連客だったという伝説にふさわしいけど、どれも高額で高嶺の花。ボクにはクレー射撃用の耳栓ぐらいしか買えなかった。

の後の半世紀でアバクロは経営者と経営方針などが変化してゆくのだが、アバクロの話題はそこまでとして、先日ふとしたはずみでアバクロンビー・アンド・ケント(A&K)の探検船クルーズ広告を見た。アバクロの名を冠しているが直接関係はない。この会社は世界の富裕層を対象にした超豪華旅行代理業だ。A&Kの創業は1962年というから半世紀余の実績があり、どんな客でも大統領や王族並の配慮でお世話をしてくれる。


なみに来年7月10日出発の北極点18泊クルーズの場合。まずノルウエイのオスロ空港に到着後、出迎えた送迎係の案内でホテルで一泊。2日目は国内線フライトでスヴァールバル諸島のロングイエールビーン港に移動。待機している探検船ル・コマンダン・シャルコに乗船、ここから北極点クルーズがはじまる。

・コマンダン・シャルコはフランスのル・ポナン社が所有する超豪華な大型砕氷船。2020年就航の3万1千トンでLNG燃料と非常用バッテリー駆動の低公害船だ。通常は135室の客室が270名の乗客を収容できるが、A&Kが運営する北極点クルーズでは乗客定員199名に限定しサービスの質と安全を維持している。(乗客/従業員比率は1:1.3)

ングイエールビーン港を発って5日間は砕氷船ならではの旅になる。船内では早速A&Kの極地専門スタッフによるレクチャーがある。船内は室内外プールをはじめジム、サウナ、バー、フレンチレストランなどリゾートホテル並みの設備がある。海は年によって氷海の様相が異なるだろうが、最新鋭設備の砕氷船と経験豊かな船長と彼のチームワークで、時には氷海を割り、時には氷塊を避けながら北緯90度をめざして進むのだろう。北極クマやベルーガ、抹香クジラなどにも会えるかな。予定では7月18〜19 日頃には目標の北極点に到達できる。状況が許されれば氷原に立ち、生涯一度の大冒険記念写真をみやげに帰路につく。復路も往路と同じルートをとってロングイエールビーンに戻り、空路でオスロを経由して帰宅の途につくことになる。

になる料金の話だが、ル・コマンダン・シャルコの客室はクラシック・ステートルームからオーナーズ・スイートまで9段階のカテゴリーがある。一番廉価なカテゴリー1の場合、この18泊クルーズの料金は$47,995(約647万円)になる。参考までにカテゴリー9の料金は$169,885(約2,267万円)でござる。ロシアの原子力砕氷船の北極点クルーズの方が少し安いかな?これは自家用ビジネスジェット機を持ってるひと向きの話題だなあ。
  


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2023年05月19日

ブルー・ドリームスター  

ロナ対応の緩和で観光業界が一気に活気づいた。商機再来と張り切ったのはエアバスA380機や超10万トンのクルーズ船ばかりではない。中国では乗客定員千人未満の小型客船も日本めざし準備をすすめている。

国に本拠をおくブルー・ドリーム・クルーズは6月から上海発着の4〜7泊日本周遊クルーズを就航する計画を発表した。日本クルーズに従事するのはブルー・ドリームスター(2万4千トン)。この船は某社の発注でトイツの造船所が建造して2001年に完成したものの、コロナ禍のあおりで眠っていたが、このほど中国船社の手で中国人客対象に改装された。当初830名の乗客定員は1050名に拡大され(大きさはにっぽん丸サイズだが、にっぽん丸の定員は449名だ)ヌードル・レストランはじめ民謡サロン、ダンスフロア、カラオケ室、みやげものショップなど中国の人々に好まれる設備を充実させた。


れで注目のクルーズ経路だが、4泊コースでは上海から長崎、門司、福岡。7泊コースになると瀬戸内海に入り広島、大阪、別府が組み合わされるようだ。おそらくクルーズ料金も安く設定されるだろうし、船なら「爆買い」したおみやげもの(炊飯器やウオッシュレット、カップラーメンなど)目方を気にしないでなんでも持ち帰ることができる。船は小さくても寄港頻度が多ければ客も多くなり大型船と変わらない。♪ブルー・ドリームスターさん ♫いらっしゃーい、だね。

  


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2023年05月12日

競争のあるところ進歩向上あり   

やれやれ黄金週間も終わった。気がつけばあたりの若葉はみどり濃い初夏の景色になっていた。報道によれば今年のゴールデンウイークの観光地は、二年間余も足止めをされた人々が堰を切っておしよせどこも大賑わいだったようだ。マスク姿も多かった。

ロナ禍に対する旅の規制がゆるめられ、クルーズ関連の広告もどっと増えてきた。気になるのは設定代金の高額化だ。高級船にビジネスクラス航空運賃を組み合わせ、プレミアム船10日間で80〜90万円、大西洋15日間で200万円、などと足元を見透かしている。停滞していた二、三年間分の旅行費を一気に回収しようというコンタンが露骨だ。日本発着4,5日間クルーズで10万円台という低料金でコツコツ育てた日本のクルーズファン層に水をかけることになるだろう。

本のクルーズファンを育てたと言えば、(不名誉なコロナウイルス集団発症事件の舞台とはなったが)ダイヤモンド・プリンセスの「功績」だろう。あれは年に一、二度程度来航する外国船にはできない努力だ。だが今年になり様相が変わってきた。MSCの台頭である。常連のダイヤモンド・プリンセス(11万3千トン:2004年就航)に対して17万トン:2019年就航のMSCベリッシマは強敵だ。MSCは秋まで横浜発着の8~9泊クルーズを続けたあと、11月からは6〜9泊のコースになり、来年1〜3月は那覇を起点に石垣島、宮古島、台湾の4〜5泊ショートクルーズで通年日本発着クルーズに定着するねらいだ。さらにコスタ・クルーズも日本市場を忘れているわけではない。競争があってこそ進歩と向上が期待できる。プリンセス、MSC、コスタが三つ巴でサービス競争をしてほしいものだ。

イラストはMSCクルーズ船隊21隻中の最新鋭MSC エウリビア(17万7千トン:乗客定員4888名)LNG焚きのグリーン・シップ。これがベリシッマに代わって日本にやってくる日は遠くないかもしれない。  


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2023年05月04日

イギリス国王の戴冠式だから  

5月6日はイギリスの新国王チャールズ3世の戴冠式だ。日本のマスコミの報道はいまひとつ盛りあがらないが、旧連合王国のマスコミ報道はにぎやかだ。クルーズ業界でも女王陛下の名前をいただいているキュナード・ラインは戴冠式に協賛するイベントがめじろ押しだ。

ギリス王室とキューナードの関係は、1861年にアルフレッド王子がアラビア号に乗船してハリファックスからリバプールまで航海されたことにはじまると言う。アラビア号は2400トンの外輪式木造蒸気船。一等船客の定員は180名、この当時から煙突は赤色に塗られ二本の黒線が引かれていた。

冠式の日、クイーン・エリザベスは西日本と台湾9泊クルーズの途上にあり、クイーン・ビクトリアはカナリア諸島12泊クルーズから帰国の途上にある。クイーン・メリー2だけは本国水域でサザンプトン・リバプール間のショートクルーズの最中だ。3隻とも式典当日は船内でウエストミンスター寺院からの実況放送が流され、乗客は祝いのカクテルと特別メニューで新国王の誕生を祝うことになる。キュナードには来年4隻目の女王クイーン・アンが加わる予定。(情報はCruise Hive より)
  


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