2024年03月01日

 戻りカゴなら安くなる? 

むかし、街道の松並木に夕陽がかかる頃、歩き疲れた旅人に「だんな、乗らねえかい、戻りカゴだからお安くしとくぜ」と、声をかける駕籠かきがいたそうな。戻りカゴというのはタクシーで言えば、客を降ろして車庫に帰る空車のこと。なかなか巧みなセールストークだ。

の話に戻ります。クルーズ船は(例外もあるけど)年中同じ海域にいるわけではない。自社船隊の配置転換に合わせて満開チューリップ畑見物やオーロラ見物、氷河見物など季節ネタを組み合わせコースを作る。そのコース作りが近頃ちょっと変わってきた。これまでどちらかと言うと、配置転換(リポジション)は迅速さが優先してきた。例えば地中海にいた船をカリブ海に配置転換する場合、船はスペインあたりから乗り出してマディラかバミューダを経てフロリアあたりへノンストップで急行する。つまり戻り籠には道草を食わせませなかった。航海日数を少なくすればそれだけ料金はお安くできるのだ。
 戻りカゴなら安くなる? 
近それがちょっと変化してきた。先ごろHAL(ホーランド・アメリカ・ライン)が発表した大西洋横断クルーズは、なんとフォート・ローダデール発着で42日間かけて地中海をめぐり大西洋横断するのだ。使用船はフォーレンダム(1999年デビューの6万トン)で出発は本年11月9日、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、エジプトなど9カ国を廻りクリスマスまでに戻ってくる。(これはもうリポジションとは言いにくい)それで料金は最安のインサイドルームが$5,200(約76万円)からと言うから1日当たり$120程度の料金じゃ!

HALはこの変則リポジションに自信があるようで、来年10月にもニューヨーク発着42日間大西洋往復地中海クルーズを敢行したいようだ。他にもNCL(ノルウエイジャン・クルーズ・ライン)のようにシングル客大歓迎を打ち出したところもある。どうやら定番の1週間クルーズを卒業したファンを誘う新しいトレンドが動き出したのかな。
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つてニューヨークは大西洋横断クルーズの起点として大いににぎわった。マンハッタンのハドソン河畔に櫛の歯のように並んだ桟橋は"Luxury Liner Row"(豪華客船溜り)と呼ばれなかなかの光景だった。ライナー(定期船)の時代は消えて久しく、今はリポジションによるクルーズが花盛りだ。あのころボクもニューヨークからバミューダ行きに乗った思い出がある。船はロイヤル・バイキング・スター、リポジション のさきがけになった船だった。懐かしいなあ。






Posted by はじめ at 07:13│Comments(0)
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