2022年09月30日

迷惑なコロナ、爆弾、火事、身投げ  

まクルーズ船の船長がいちばん恐れてるのはコロナウイルスに違いない。二番目テロリストで、その次に恐いのが船火事だろう。昔から火災は船の大敵だ。


Cruise Law Newsによると、先週RCIのエクスプローラー・オブ・ザ・シーズ(13万3千トン:船客定員3110名:以下オブ・ザ・シーズはOTSよ略す)で火災が発生したらしい。(らしい、というのは船会社にとって名誉でない情報は公に説明されないからだ)。ま、それはともかく投稿によると9月16日マイアミを出港し10日間のカリブ海クルーズに赴いていたエクスプローラーOTSだったが、19日に13階スポーツデッキの倉庫で火災が発生した模様。船内で防災服姿のクルーが乗客に目撃された。煙が13階から12階の一部にまで充満したが間もなく鎮火の船内放送があった。その後12~13階は立ち入り規制が発表されたという。

事や事故は船にとって不名誉と思うてか、また乗客に余計な心配をかけない配慮だろうか、船会社は必要以上に詳しい説明をしたがらない。ボクも以前H社のR号でチリの太平洋岸を航海中「船火事もどき」に遭遇した。日中船内に緊急放送が流れ、防炎服で丸くなったクルーがサロンの人波を掻き分けて駆けてゆく光景を目撃した。そのあと煙も火も見えぬまま問題は解消し、特別なアナウンスもなかった。また別な年、O社のR号で大西洋を横断中、とつぜんボクは激しい下痢になり医務室の指示で個室に隔離された。このときは強烈な中国製下痢止め剤のおかげで大事に至らず助かった。しかし詳しい公式説明はなく、船内で70名のノロウイルス罹患者が出たことは下船後のインターネット検索で知った。できれば「お客様は知らぬが仏」であって欲しい、というのが船会社の希望かもしれない。

 

  


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2022年09月23日

フランスの新しいクルーズ会社  

ロナ対応でむずかしい舵取りを求められるクルーズ業界だが、それにもめげずフランスに新しい会社が出現した。


CFCクルーズがそれ。保有船は取りあえずルネッサンス(5万5千トン:乗客定員1258名)の一隻だけ。この船、実は1993年ホーランド・アメリカからデビューしたマースダムだ。以前マースダムに乗ったとき、並のオーシャンビュー部屋にバスタブが付いて大喜びした記憶がある。その料金では同じプレミアム船でも、プリンセスではシャワーだったからね。マースダムは2020年に”戦力外”となりギリシャのフェリー会社シージェット社に売却されたが、解体されずに係船されていたもの。今回新会社起業にあたりCFCがシージェット社から買い受けた。

春ル・アーブルに本拠を置き営業開始するが、秋にはマルセイユに移って地中海10~15泊クルーズや世界周航を計画中とか。特にシングル客大歓迎で追加料金なしで100室も用意するそうだ。「フランスにはすでにポナンがラグジュアリー・クルーズを確立させました。しかしプレミアム級のクルーズ船はない。我々がめざすのはそのフランス式プレミアム級クルーズ船です」とモーゼ社長が語っている。

つてはイル・ド・フランスやノルマンディなど大型客船でイギリスと大西洋航路の覇を競ったフランスだが、いまはアメリカ、イギリス船団の後塵に甘んじている。クルーズは船が大きいとか新しければ快適だというわけではない。小さな古い船でも佳いサービスは可能だろう。トリコロールをあしらった煙突塗装もよく似合う。(ちょっと昔のUSラインに似てしまったけどね)CFCの健闘を祈るや切だ。






  


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2022年09月16日

ポナンのヨット   

かにもフランスらしい洗練された美食と少人数の大人の船旅を売り物にするポナンのクルーズが人気を集めている。すでに10隻の1万トン級小型客船をもつポナンが、ことし新たに小型帆船を船隊に加えた。

ナンの新顔は3本マストのスクーナー型帆船。名前はヨットでも帆布1枚持たない名ばかりの「ヨット」が増えるなか、こいつは文字通りのヨットだ。全長88mで1,400トン。16の客室の定員は32名。ル・ポナンのウリは徹底した無公害航海で、この船には最新式のSCRフィルターを設置し、酸化チッ素の排出は90%減少できるとしている。航海中もエンジンを用いるアクティビティをせず、純帆船時代の航海に専念するという。ヨット ル・ポナンの初航海は8月14日、ドブロブニクを出航してエーゲ海を巡る7泊クルーズから始まる。料金は$9,980(約133万円)から。このあとはセイシェルから西オーストラリアに起点を移し、来夏までに10回のクルーズを予定しているという。宝くじが当たったら真っ先に乗りたい。

  


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2022年09月08日

要るの?要らないの? タグボート 

月下旬の日曜日、カナダのバンクーバー港で曳き船乗組員組合がストライキを決行した。

から停泊中のセレブリティ・エクリプス(12万1千トン:乗客2,800人)とディズニー・ワンダー(8万5千トン)は出港時刻になっても身動きできずスケジュールに影響する迷惑を被った。でもね、シロウト考えだけどエクリプスもワンダーもサイドスラスターはついてるから、その気になればタグボート(曳き船)の助けを借りなくても自力で出港できるんじゃないかな。それともスケジュールより安全を優先したのかな。

グボートと言えば、むかしボクが地方の港で見た光景を思い出す。その当時、その港には石炭焚きの古いタグボートが1隻しかなく、月末の繁忙期になると次々に入出港する貨物船のお世話で大忙しだった。或る月末の午後だった。沖待ちしていたU.S.ラインのマリナー型貨物船パイオニア・ムーアが、空いたバースに向けて進入を始めた。しかしタグボートは別な船の出港作業中でパイオニア・ムーアの着岸には手を貸せない状態だ。強引に接岸を図るパイオニアはどうするんだろう。ボクは固唾を呑んで成り行きを見守った。その先はパイオニアの船長の腕の見せ場だった。船長は一気に指定バース前まで船を進めるとピタリと停めた。それから大きな船を小刻みに前進後退を繰り返し、綱取りボートを呼び寄せて繋留索を陸に運ばせた。あとはウインチで巻き寄せておしまい。マリナー船はあっという間に接岸を終え荷役をはじめた。ボクは船長に拍手を送りながら思った。タグボートなしでもやればできるじゃん。でも1万トンの貨物船と超10万トンのクルーズ船じゃ話が違うのかな。  


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2022年09月02日

♫ むかしの名前じゃ出しません  

業1848年のフレッド・オルセン・クルーズはイギリスのイプスイッチを本拠にして、クルーズ好きなイギリス人を主な顧客に営業をしているが、れっきとしたノルウエイ資本の企業だ。同社はクルーズ以外にも造船から高級ホテル業、不動産業、電気関連企業など幅広い領域で活動してる。現在フレッド・オルセン・クルーズは4隻の中型クルーズ船を保有している。

レッド・オルセン船隊の旗艦はボレッテイ(6万2千トン)、その姉妹船ボレアリス(6万1千トン)、バルモラル(4万3千トン)とブレーマー(2万4千トン)だ。クルーズ会社もRCIやMSCみたいに次から次に新造船を作る資金源の豊かな会社もあるが、フレッド・オルセンはこれまで徹底して中古船ばかりを購入してリメークし以前の船名を消し、Bの頭文字で始まる新しい名前をつけてデビューさせる。ただし中古でも造りの良い高級中古船だ。

とえばこのボレアリスは元HALのロッテルダムで、ボレッテイも同じくHALのアムステルダムだ。(ボクは以前南米まわりでロッテルダムに乗ったけど、船内のサロンに兵馬俑の兵士{むろんレプリカ}がうずくまっているなど洋上博物館を自称するインテリアにおどろいた)そしてバルモラルはノルウエイジャン・クラウンで、ブレーマーは元キュナード・クラウン・ダイナスティ(この船は9年間に6回移籍して船名も6回変わるという波乱の人生(?)を経ている)。2007年この船がフレッド・オルセンに移籍したとき、会社は大胆な改造工事を施した。それは乗客の収容数を増やすために船体中央部を切って、30mほどの新船体を継ぎ足す拡張工事だった。この工事で客室と公室を増やした結果、船は19,000トンから24,000トンになり、船名もバルモラルに変わった。

レッド・オルセンの名船好みは以前からだ。この4隻の前にも、昨年トルコで解体されたボウディッカは往年の名船ロイヤル・バイキング・スカイであり、同じく売却してインドで解体されたブラックワッチは元ロイヤル・バイキング・スターだった。ボクはこの船にもバミューダ・クルーズで付き合ったことがある。思えば縁の深いことだ。今年8月24日、バルモラルのスクリュウ・プロペラに異常が見つかった。会社は船の総点検をした結果、4隻の秋以降のクルーズ予定を全てキャンセルした。業界情報では現状の集客状況が芳しくないことと、燃料費の高騰が理由ではないかと言う声も聞こえる。それでもフレッド・オルセンは今年新造船を発注すると言っている。(情報はCruise Industry Newsより)




  


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