2023年11月02日

にっぽん丸初乗り紀 その2 「ホライズン・ラウンジ」

にっぽん丸に乗る、とブログに書いたら、ちょっとしたハプニングが始まった。三郎さんが(ミー・ツー)と言ってきた。三郎さんは、もう長いことボクのブログの熱心な読者だ。気安く三郎さんと呼んでるが、お目にかかったことはないし、本当の名前も住まいもメールアドレスも知らない。まあ、にっぽん丸の中なら見つけられるだろう、とタカをくくり三郎さんの提案通り出航日の4時にホライズン・ラウンジで会うことにした。

4時少し前ボクはホライズン・ラウンジに行った。ここは7デッキの最先端にある展望サロン。ちょうど操舵室の真下にあたる。ここから前方を眺めていると船長の気分になれるので人気があるようだ。折から立派な体格の男性が正面席に座り双眼鏡を使っていた。(この人が三郎さんかな?)しばらく観察してから「失礼ですが…」と尋ねたが違った。まるでスパイ小説のMI6の連絡員になったみたいでドキドキでしてきた。

そして約束の時刻ピタリ、一人の男性が席を立ちボクの方に歩み寄った。「三郎さんですか?」「そうです」というわけでランデブーは成功。先ほどの双眼鏡の男性は、なんと三郎さんの知人で、やはり船好きのIさんだった。奇遇です。三郎さんもIさんも以前は船乗りだったそうで、今回は奥さんを残しての単身旅行。このあと船好き三人の話は大いに盛りあがった。


ホライズン・ラウンジでは無料でコーヒー紅茶が頂ける。この日、ボクの紅茶にはケーキまで付いてきた。嬉しくなって翌日もいったらコーヒーだけだった。どうやらサービス時間があるようだ。ラウンジの左舷側はバーでお酒が飲める。ただし有料デス。写真はホライズンに続く回廊。大きな丸窓が並ぶあそこです。秋野不矩さんの絵を思いだすね。(初乗り記 次回に続きます)  


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2023年10月27日

ノルウエイジャンもがんばる  


で清水港近くを通りかかったら、波止場の上屋越しに大きな船のエントツが見えた。これは見逃せないと埠頭へ寄るとNCLのノルウエイジャン・ジュエルが接岸していた。9万3千トン、乗客定員2376名だが近くで見ればでっかいなあ。東京発着で西日本周回の帰路らしい。近年流行のボディアートがちょっと、ねえ。いかにもカジュアル船の雰囲気だ。でもボクはNCL系のプライド・オブ・アメリカに乗ってから、気軽で割安のカジュアル・クルーズも悪くないな、と思ってる。

 のところNCLから宣伝メールがじゃんじゃん届く。先回のブログでHALの53日間太平洋周回クルーズの話のなかで(せめてアラスカー日本、日本ー南太平洋経由シアトルの分割クルーズにならないか)と書いたが、NCLには分割コースに近いものがあった。例えば来年4月、東京発で石巻、函館、青森、ダッチハーバー、コディアック、ホーマー、スワード(アラスカ)の12日間クルーズだ。しかも料金は(期限限定ネット申込で)インサイドルームなら$684(約10万円)、オーシャンビューで$834(約13万円)という大廉売。アジアの皆さんNCLも忘れないでね、とばかり日本市場進出の意欲満々プライスだ。来年以降にはノルウエイジャン・スカイやノルウエイジャン・スピリットもアジア市場に投入して、これまで競合他社になかったクルーズを提供しようとしている。プリンセスやコスタ、MSC,、HALが広げた日本のクルーズ市場は、これからはますます競争が激しくなることが間違いなさそうだ。

 ころでボクは明日東京港からにっぽん丸で東北ショートクルーズに出かけます。船ではブログ読者の三郎さんと会えるのが楽しみですが、船から降りたらクマに出会わないよう気をつけます。来週のブログはお休みだな。  


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2023年10月22日

HALのパンパシフィック・クルーズ  

クルーズ船トラッキング・サイトを見ると、まるで顕微鏡で見るウイルスみたいに船が世界地図を埋めつくしていた。聞くところによると世界で稼働中のクルーズ船は200隻以上あるそうだ。だから健康でお金と暇さえあれば、クルーズ選びほど胸おどらせるものはない。先日HAL(ホーランド・アメリカ・ライン)がまた悩ましいクルーズ案を発表した。


新しい試みの始点はシアトルで来年の9月スタートだ。船は8万トン・ビスタ級の中型船になるだろう。コースはシアトルからインサイド・パッセージを経てアラスカへ向かい、ジュノー、シトカ、コディアック、ダッチハーバーに寄って北太平洋を日本をめざす。日本では釧路を手はじめに函館、横浜、神戸、高知、広島、博多、長崎、境港、金沢、石垣島、那覇など秋の列島各地をめぐるとか。復路は南太平洋の硫黄島やミッドウエイ諸島に接近してからカワイ島、マウイ島、オアフ島に寄港したのちシアトルに戻るのべ53日間の旅になる。

料金や日程などくわしい情報はまだわからないない。アラスカやハワイはHALの手慣れたコースだ。また硫黄島やミッドウエイは滅多に近づけない海域で日米のシニア世代には忘れられない歴史ポイントだろう。船はウエステルダム かノールダムなら上等だ。歳をとるとあまりケバい船や騒々しい船は遠慮したい。HALの落ち着いた船内は長旅にぴったりだ。食事とサービスもプレミアム船への期待を裏切らないだろう。しかしザラ二ヶ月間近いクルーズだ。せめてシアトル乗船・日本で下船とか、日本で乗船シアトルで下船のように分割販売してくれるといいなあ。いや、それでも3週間のクルーズになるだろう。悩ましい、ナヤマシイ。

続報:上記の53日間クルーズは HALからMAGESTIC JAPANという名称と料金が発表された。インサイド・ルームで$8,084(約120万円)オーシャンビューで$8,684(約129万円)ベランダが$12,084(約180万円)という。一日あたり@¥23,000はピースボートと比べてもべらぼうな金額ではない印象だ。日本人客向けには4月にウエステルダム があるからだろうが、マジェスティック・ジャパンは往路、復路の分割販売をしないょうだ。

P.S.先回のブログで「にっぽん丸に乗ります」と書いたら読者の三郎さんから「ボクも秋の絶景クルーズに乗る予定」とコメントが寄せられた。これはブログが結ぶ奇遇です。初日の午後、ホライズン・バーあたりでお会いして夕食をご一緒したいものです。


  


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2023年10月20日

MITSUI OCEAN FUJI

船三井クルーズが改名した。新しい名称はMITSUI OCEAN CRUISES。ついでに新しくチャーターした客船の名前もご披露した。船は元シーボーン・オデッセイで、新しい名前はMitsui Ocean Fuji(ミツイ・オーシャン・フジ)。(とつぜん頭に新しい帽子をのっけたみたいで、まだちょっとこそばそうだ)これで同社は2隻のクルーズ客船体制になる。

ツイ・オーシャン・フジはにっぽん丸より1万トンも大きい3万2千トン。なのに乗客定員はにっぽん丸とほぼ同じ450名。つまり船内の「人口密度」が低いのだ。ゆったりしたレストランが三箇所あり、屋外プールは二箇所にあるが、遊園地のような遊戯設備は一切ない大人の雰囲気を重んじる船だ。同船が三井の旗を掲げて就航するのは来2024年12月。翌2025年5月にはお披露目をかねて世界周航も計画中とのこと。ところでにっぽん丸の呼称はどうなるのだろう。ミツイ・オーシャン・にっぽん丸? 進行中の新造船二隻の名称も大いに気になるね。

ーボーン・オデッセイの三井移籍については以前このブログにとりあげた。その時、ボクは戯れにオデッセイの煙突をオレンジ色に描いたイラストを添えた。あれは完全に的外れだった。商船三井は新チャーター船を世界中のクルーズ客向けに提供しようとしてるんだね。長年つちかった日本式「おもてなし」で自信をもって世界のクルーズ界に参入する覚悟を感じる。このタイミングで、ボクは近々にっぽん丸に乗ってみることにした。久しぶりの日本船クルーズである。とても楽しみです。


  


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2023年10月13日

その後のディズニー巨船  

ごろ倒産した中国系クルーズ企業ゲンティングの未完成巨船を、破格の廉価で買い取った(という噂)のディズニー・クルーズが、このほどその後の事業展開を発表した。

とグローバル・ドリームと称した20万トン(乗客定員6000名)の巨船はディズニー・アドヴェンチャーと改名し、2025年就航をめざしドイツの造船所で仕上げ工事中だ。ディズニー;クルーズは同じくゲンティングがドイツで建造しようとしていた14万トン級船(乗客定員2500名)と抱き合わせ、シンガポールのマリナーベイ地区を起点とした新クルーズ・ビジネスを発足させる計画らしい。

1998年にディズニー・マジック(8万5千トン:乗客定員1750)で始まったディズニー船隊は、いまやディズニー・ワンダー(8万5千トン:乗客定員1750名)、ディズニー・ドリーム,ディズニー・ファンタジー(ともに12万5千トン:乗客定員2500名)、ディズニー・ウイッシュとディズニー・トレジャー(ともに14万トン:乗客定員2400名)と着実に成長を進めている。以前このブログで改装中の20万トンディズニーは戦後最初の三本煙突客船になるのではないか、と予想したが今回発表された完成予想図では二本煙突に描かれていた。だけどボクはまだディズニーが煙突を三本のせるんじゃないか、と疑ってやまない。
  


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2023年10月06日

ヨコハマ 世界の帆船模型展 開催  




浜帆船模型同好会が主催する第45回世界の帆船模型展が11月5日(日)から12日(日)まで13日間開催される。(最終日は午後1時で終了)

今回の会場は「かながわ県民センター」1階展示場です。
  


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2023年10月04日

新社名はHX


長い間日本のエンタティメント界に君臨してきたJ事務所の改名と期が一になったのは偶然だが、ノルウエイの沿岸急行船で知られたフッティルーテンがロゴマークを一新した。(正直なところ、HURTIGRUTENと綴りながら、フッティルーテンとは読めなかった)新しい社名のHX は HURTIGRUTEN EXPEDITIONSの意。「うちは定期連絡船ばかりじゃおへんよ。北極から南極、アラスカからグリーンランド、探検も冒険もやりまっせ」という意気込みでしょう。北海航路に強く、低公害船にも実績をつむ同社のことだ。ひと味異なる探検クルーズの道を広げてくれるだろう。ガンバレ!  


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2023年09月29日

オーシャン・エクスプローラー 生還!  


140名の乗客を乗せたままグリーンランドのフィヨルドで座礁した探険クルーズ船オーシャン・エクスプローラー(8,000トン)は、その後、駆けつけたデンマーク海事局の調査船の助けを得て離礁に成功、4日ぶりに「自由の身」になった。乗客乗員210名の生命も無事だし、現場海域の汚損もないという。オーシャン・エクスプローラーは9月2日にキルケネスを出港して北氷洋を巡りベルゲンに至る22日間クルーズの予定だった。乗客たちは北極海探検のスリルを充分に味わっただろう。船は救助船に導かれ最寄りの港へ向かっている。メデタシメデタシ。  


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2023年09月22日

ピトケアン島への定期船 

「ピトケアン島」は「バウンティ号の反乱」とならんで海に憧れる旅人の心を刺激する言葉ではなかろうか。クルーズ全盛時代の今日、あなたをピトケアン島へ連れて行ってくれる船があるのをご存知か。

ウンティ号の悲劇の始まりは「パンの木」だった。18世紀イギリス帝国は世界各地で植民事業を広げ、労働力として大勢の奴隷や囚人を送りこんでいた。しかし彼らの食糧は慢性的に足りなかった。そこでイギリスは南太平洋に自生するパンの木をあてる計画を思いつく。手始めにタヒチからパンの木の苗を大量に西インド諸島へ運ぶことにして軍用貨物船バウンティ号の派遣を決め、艦長にウイリアム・ブライを任命した。ブライはかつてクック艦長のもとで航海長まで務めた経験豊富なシーマンだった。

1787年12月、ブライ艦長ら46人が乗り組んだバウンティ号は母国を出港し一路南太平洋のタヒチ島へ向かった。翌々年10月、タヒチ島に着いたバウンティ号はすぐさまパンの苗木を集める作業と、その苗木を鉢植えして船倉の棚に並べ、給水設備をつくる作業を始めた。しかしそこはこの世の楽園と言われるタヒチである。乗員たちは開放的な現地女性との交流に夢中になった。なかには現地の女性と結婚する者や船から脱走する者も現れる始末。ブライ艦長は規律違反者を鞭打ち刑にして乗組員の風紀引き締めにつとめた。

1789年4月4日、ようやくパンの苗木を積み終えたバウンティ号は抜錨して西インド諸島をめざした。3週間余り後、船がトンガのフレンドリー諸島近くを通過したとき、バウンティ号の船内で反乱が発生した。反抗したのは航海士フレッチャー・クリスチャン以下の12名。厄介物のパンの苗木を海に投げ捨てると、ブライ艦長以下19名をわずかな水と食糧をのせたボートに乗せ船から追放した。ブライ艦長は海図もコンパスもない状態のなか、40日間あまりの航海をして無事にティモール島にたどり着くという見事な航海者ぶりを発揮した。イギリス海軍はバウンティ号と反乱者を追って度々軍艦を派遣したが、反乱者の行方はわからなかった。

方クリスチャンら逃亡者たちはタヒチの原住民男女17人を仲間に加え、自由で気ままに暮らせる楽園を求めて逃亡を続け、やがてイギリス海軍の海図にない無人島ピトケアン島に到着した。クリスチャンはここでバウンティ号を破壊し、その材料で家を建て島に定住を始めた。しかし時が流れるうちに楽園の男たちの間で仲違いや争いが生じ、クリスチャンも命を落としていた。バウンティ号の男たちとタヒチの女たちの間に子供も生まれ、1930年頃には300人ほどの人口になったが、現在の島民は50人ほどで、そのほとんどがバウンティ号の乗員の子孫とタヒチ女性の子孫と言われる。余談だがパンの木の実は囚人や奴隷たちに嫌われ、その後苗木の移送計画は立ち消えに終わった。

て、その楽園の島ピトケアンに行く定期船の話をしよう。島には1週間に一度、定期補給船シルバー・サポーターが食料や生活物資を運んでいる。旅行者はこの補給船に便乗することができる。船はピトケアンから300マイルの位置にあるガンビール諸島のマンガレバ港で乗船し、32時間の航海でピトケアン島に到着する。船賃は往復でNZ$5,500(約48万円)だ。島には特別の観光施設や近代的なホテルはない。帰りの船が来るまで3泊4日間、ホームステイかペンションに滞在(宿泊費$70〜$300)しなければならない。島には雑貨店程度の店はある。クレジットカードは使えるがPayPalなどは使えない。病院はないから旅行医療保険は必須だ。急病で隔離された時の非常食も自前で用意して持参することをすすめている。島内での足はもっぱら4輪バギーのお世話になる。それでもこの島であなたは何かバウンティ号の新発見をするかもしれない。



  


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2023年09月15日

探検クルーズ船の座礁  

9月11日月曜日の朝、北極海で1隻の探検船が座礁した、というニュースが飛び込んだ。

故を起こしたのはオーシャン・エクスプローラー(8千トン:乗客定員200名)。船首がボーイング747ジャンボの機首みたいなデザインをした探検船で、2021年デビューの新造船だ。通報によると現場はグリーンランドのアルプフィヨルド南東部だという。身動きはとれなくなったものの、今のところ人命と環境汚染の問題は生じてないようだ。しかし、翌火曜日日、期待の満潮を利用して脱出しようとしたが離礁出来ず、近くにいるデンマーク海軍の救援を求めることになった。近くと言っても1,200海里(約2,200km)の距離がある。天候に恵まれれば今週末には助け船が来るだろう。それまで豪華な船内で過ごすことになるだろう。それでも乗客たちには予想以上の冒険航海になった。  


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2023年09月08日

ハワイ四島クルーズ再開  


ウイ島やハワイ島の山火事被害の全容は未だ解明されていないが、ハワイ四島クルーズを催行しているNCL(ノルウエイジャン・クルーズライン)は、中断しているプライド・オブ・アメリカ(8万トン;乗客定員2186名)の定期クルーズを9月から一部を修正して再開すると発表した。(おそらくマウイ島の復興が成るまで寄港を控え、代わりにハワイ島ヒロに停泊することなるだろう)プライド・オブ・アメリカはオアフ島を起点にしてハワイ島ヒロ、コナ、マウイ島カフルイ、カワイ島ナウイリウイリを巡る7日間クルーズで18年間の実績がある。NCLはすでに5万ドル以上の災害義援金提供を発表しているが、クルーズ再開はさらに強力な復興支援になるだろう。  


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2023年09月01日

ブリタニアの衝突事故  

8月28日日曜日、P&Oのブリタニア(14万3千トン:乗客定員3737名)はスペイン領パルマ・デ・マヨルカに停泊中だった。その日は朝から雷をともなう強風が吹く悪天候。そして正午前、巨船はとつぜん強烈な突風に襲われた。強風でもやい綱が音を立ててちぎれ飛びブリタニアの巨体が港内を漂うと近くに停泊していた中型のタンカーの左舷に衝突した。その結果ブリタニアは右舷中央の救命艇と救命設備の一部を破損。タンカーも左舷船側を小破した。

故の詳細はわからないが、ブリタニア側の乗客と乗員に若干の負傷者がでたようだが、船内の医務室の手当てで対処できた様子。それよりも1隻の救命艇と救命設備の一部破損が問題だった。通常このクラスの客船の救命艇は150名前後の乗客を収容できる。調査にあたった地元管理局は、救命艇の破損は船内で修理不能であり、この状態で残りのクルーズを続けることは認められない、と判断した。ブリタニアはこのあとサザンプトン発着で北欧とスカンジナビア14泊クルーズの予定がある。結局船側はここで下船する乗客には帰宅のための航空便を料金P&O負担で手配する条件を提示し、何名かの乗客がそれに応じた模様だ。また事故の最中には、午前中に上陸観光した乗客たち数百人がブリタニアに戻ることができず長時間ターミナルで待ちぼうけになった。クルーズ船は小さな事故でもいろいろな面倒がついてくるものだなあ。(情報はUSA TODAY、cruise hive comより)


  


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2023年08月25日

ダーウインの足跡を追うクルーズ   

8月15日、1隻の三檣スクーナーがプリマス港を出港した。船の名前はOosterschelde(オオステルシェルデとでも読むのか?)この船、若い環境汚染研究者や冒険航海愛好者を乗せて、ダーウインが成し遂げた大航海の足跡を追い、二年間で世界の海の4万海里を旅するダーウイン200グローバル・ボヤージの主役をつとめる船だ。


オステルシェルデは1918年にオランダで造られた貨物船。長いあいだ沿岸輸送に従事したあと、デンマークやスウエーデンに売却されたが1988年に母国オランダに買い戻されて近代的な改装を受けた。全長50m、370トン。(小舟だなど言うなかれ。ダーウインが乗ったビーグル号は235トンのバークだった)こちらは500馬力ディーゼル機関ものせている。クルーは船長以下ハ名という。フォアマストに小さな横帆が二枚だけで、あとは縦帆だから操帆の人手は少なくて済むようだ。乗客が帆を広げる仕事に駆り出されるかもしれないな。(これはジョーダン)


は24名の乗客を乗せることができる。しかしスター・クリッパやウインド・サーフなど豪華な帆走客船を想像してはいけない。プールも無いし劇場も無い。なにしろ古い貨物船をリフォームした船だ。貨物倉を広げて客室に造り替え、船尾甲板を一層増築して操舵室を移した。。船内は付け足し改装につぐ改装で通路は狭く、客室も狭いが、古い木材がむき出しの質素なインテリアは不思議に落ち着く。往年の船旅をしのぶ忘れられない経験が得られるのは間違いない。



はこの船、これまで何回も世界を回る航海を経験しているし、クルー達もベテランぞろいという。ダーウイン200プロジェクトで世界航海の間、船は二年間に32カ所の港に寄り、乗客の入れ替えと補給品の積み込みをする。乗船希望客は好みのコースを選部ことができる。例えば最初のプリマス→テネリフェ間は12日間で3,250ポンドから(約51万円)。短いものはコンセプション→バルパライソで400ポンドから(約6万3千円)。長いものではサウスジョージア→ケープタウン46日間が8200ポンドから(約130万円)。人気のガラパゴスやイースター島に寄るコースはキャンセル待ちのようだ。






  


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2023年08月18日

待望の中国観光客を乗せて  

国政府が日本行き団体観光客の渡航許可をだしたニュースで、日本の観光・旅行業界は「上得意客」の再来に胸を高鳴らせている。これはそのうれしい続報。観光客はヒコーキに乗って来日するばかりではないのです。


ンガポールに本拠をおく中国系クルーズ会社リゾート・ワールド・クルーズ社は10月から香港発で那覇(沖縄)/宮古島5泊クルーズをスタートさせると発表した。就航船は同社所属のリゾート・ワールド・ワン(7万5千トン:乗客定員1856名)。この船は1999年ドイツで建造され、スーパースター・ヴァーゴの名前で長くシンガポール発着のショートクルーズをしていた船だ。シンガポールでボクがこの船に乗ったときはほぼ90%中国人客で、まるで中華街が船の中にそっくり引っ越してきたようなにぎやかさ。大声の会話に圧倒された記憶がある。今では少しは静かになっただろうね。この陽気な船は10月から1週間おきに那覇港にやってくる。香港発着那覇・宮古島5泊クルーズの料金はHK$4,400(約¥81,000)からだって。
  


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2023年08月11日

む、MSCか…おぬし出来るな  

のところMSCベリッシモのCMやタレントによる乗船レポ番組がかまびすしい。いまやMSCは先輩コスタを押しのけ日本市場に定着を果たしたようにみえる。だが超13万トンのカジュアル船がMSCの本領だと思ってはいけません。


8月1日、1隻の真新しいクルーズ船がコペンハーゲンを出港した。船の名はエクスプローラーI。6万3千トンで乗客定員922名。MSCがたちあげた高級ブランドのエクスプローラ・ジャーニー(トヨタならレクサスに相当する高級ブランド)、の第一号船だ。エクスプローラーはシェットランド諸島を経てオークニー諸島からレイキャビックに至る7泊の処女航海に赴いた。新造船の設備や内装はまだ見てないが業界は大いに注目をするところだ。このあと来年8月にエクスプローラーIIが、2026年春にはエクスプローラーIIIが戦列に加わり、2027年にはLNG焚きのエクスプローラーIVが引き渡され、MSC高級ブランド4隻組が完成する。MSCクルーズ、あなどれませんぞ。  


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2023年08月04日

究極の無公害船めざして  

欧ノルウエイの沿岸急行船を運営するフッティルーティンが、進行中の次世代無公害船のあらましを公開した。


SEA ZEROという仮称をつけたこの船は、フッティルーテはじめ12の企業と研究機関が共同開発を進めている究極の無公害船プロジェクトの成果。公開された完成予想図とデータによれば、SEA ZEROは全長135mで220室の客室をもち、500名の乗客と99名の乗員を乗せるというから、現役ミッドナイトソル級(1万6千トン:乗客定員970名)よりふた回りほどコンパクトか。 だがその外観を見ればこの船がタダモノではないと誰にもわかるだろう。

SEA ZEROは推進力に化石燃料を一切使わない。主推進力は2軸のスラスターで、動力源は60メガワットのバッテリーに依存する。航海中の燃料補給は短時間の充電かバッテリー交換で行う。他に補助推進力としてユニークな帆装をもつ。眼をひくのは最上デッキに立つ三本の煙突状の構造物だ。ここから三本の伸張式マストが50mの高さまで伸びて立つ。マストからは引き出されるセイルの面積は1500m2あり、全開するとアメリカ沿岸警備隊の練習帆船イーグルの帆面積(22枚1,842m2)にせまる広さだ。そのうち750m2はソーラーパネルの機能がある。残念ながら帆を全開した画像はまだない。完成予想図では上甲板の随所にソーラーパネルがあるように見える。

SEA ZEROは船体を徹底して流線型で成形し空気抵抗を減らしている。対策は水面下にもおよび、2基のスラスターは無用の際には畳んで船底に引き込み、少しでも水の抵抗を減じようとしている。(もっともこれは150年も前に日本がオランダから買った帆装軍艦「咸臨丸」でも導入されていたアイデアで、帆走時にはスクリュウを船内に引き上げる装置があった)SEA ZEROの流線型ぞっこん症はブリッジにも及んでいる。これまで船の横幅いっぱいに広がるブリッジを取りやめ、大型旅客機のコックピットのような機能優先のものになるらしい。いずれにしても革命的な姿になるSEA ZEROだ。2030年の完成した姿を見るのが楽しみだ。
  


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2023年06月30日

シン飛鳥 建造はじまる  

ごろドイツのメイヤー・ベルフト造船所パペンブルグ工場で、日本郵船飛鳥クルーズの現場事務所が開所式をした、とCruise Industry Newsが伝えている。

NYK(日本郵船)と飛鳥ファンは待ちに待った日だった。その日、現場事務所の旗竿に白地に二引きの社旗が掲げられ、NYKと造船会社の重役が参列して日本古来のしきたりにしたがって開所式が行われ、参列者にお神酒が桝でふるまわれた。
いまの飛鳥IIがクリスタル・ハーモニーの名でデビューしたのは1990年。わたくしごとだが2001年10月(米国同時多発テロ)の1ヶ月後にボクは米国でクリスタル・ハーモニーに乗っている。その後クリスタル・ハーモニーは2006年に飛鳥IIを襲名(?)し間もなく20年を迎える。新造船は50,142トン、385の客室に最大744名の乗客を迎える。完成予想図を見ると先代飛鳥の全てを引き継ぐNYKらしいキープコンセプトが生きているようだ。注目の船名はまだ発表の段階にない。果たして飛鳥IIIはシン飛鳥となるか、はたまた飛鳥燦か、楽しみだね。工事が本格的に始まるのは秋からで引き渡しは2025年の予定。






  


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2023年06月23日

ノールダムに乗ーるかい  

くれHAL(ホーランド・アメリカライン)ファンのボクだが、このところ乗船の機会に恵まれない。だってほとんどのコースが14日間クルーズだもの。それでも去年はウエステルダム の日本発着クルーズを予約したが、ものの見事に抜港されて断念した。ダイヤモンド・プリンセスやMSCベリッシマ、コスタ・セレーナなどが日本発着コースで日本人乗客の争奪戦を繰り広げるなか、HALは日本市場への熱意が欠けているようにみえる。ところが最近珍しく日本人客に色気をみせ、このほど新しい日本発着クルーズを発表した。船はウエステルダム に代わって姉妹船ノールダムになる。

HALによると今年の10月から来年4月にかけてカンボヂヤ、インドネシア、日本、フィリッピン、韓国、台湾、タイ・べトナムなど8ヶ国20港を対象にした14日間クルーズを9本実施する。乗客は日本発着につなげ最長48泊クルーズまで連結できる。たとえば2024年10月27日東京発日本周遊14泊クルーズは、ご用とお急ぎのない方は台湾、フィリッピン周遊を連結すれば最長28泊クルーズにすることが可能だ。
ーズン最後の2025年4月27日横浜発は釧路経由で北太平洋横断航海をしてアラスカのグレーシャー・ベイまで15泊クルーズだ。あまり見かけないコースで通好みかもしれない。ダイヤモンド・プリンセスやベリッシマで日本周遊クルーズを経験した日本人客に、次なる船旅として東南アジアと西太平洋を提案してるんだね。かつてHALの通常海側客室は同じプレミアム級のプリンセス・クルーズの同等船室と、ほぼ同料金だがバスタブがついているメリットがあった。いまはどうだろう。HALは日本人の好みにあった船だと思うけど、ネックは14日間の壁だと思うな、ボクは。せめて10日前後にしてくれたらね。





  


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2023年06月16日

愛達魔都号の誕生  

上海の中国国営造船所で中国初の大型クルーズ客船が進水式をあげた。


の船はカーニバル・クルーズと中国の合弁企業カーニバル・チャイナが発注した2隻のうちの第一号で、アドラ・マジックシティ号と命名された。同船は13万5千トン:乗客定員5246名で簡体字で愛達魔都号とつづる。中国が初めて建造する大型客船だが、建造にあたりカーニバルからカーニバル・ビスタ級の図面その他データが提供されたようだ。お手本さえあれば航空母艦でも作れる国だから問題はなかっただろう。300名乗りの大型救命艇を20隻装備するとか、5G WiFi6を導入して最新の通信環境を整えるとか断片的な情報があるが詳細はまだわからない。愛達魔都号は7月1日から公海試運転を開始し、仕上げ工事を済ませ年内には引き渡しを終える予定。来年以降に完成する第二号船とともに上海を起点とした世界クルーズ事業が展開されるのか。来年には日本のどこかでお目に書かれるかもしれない。

いつもコメントを下さる三郎さんへ:今月はダイ・プリにご乗船ですね。いいなあ。久しぶりのクルーズをたっぷり楽しんできてください。  


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2023年06月09日

水先案内人の事故  

し前の話、長崎港で痛ましい海の事故があった。

5月7日の早朝、水先人のOさん(69歳)は入港するダイヤモンド・プリンセスに乗り込むため、いつものパイロット・ボートで埠頭を離れ港口に向かった。その日は波が穏やかで天候もまずまずだった。女神橋をくぐり高鉾島を過ぎて、伊王島の北西約4kmほどの位置でダイヤモンド・プリンセスに出合った。パイロット・ボートの船長は慎重にボートを大船に接近させ、Oさんは梯子を登りダイヤモンド・プリンセスの乗船口に近づいた。事故はその直後に起きた。ライフジャケットを着たOさんの身体が海に落ちた。(大船とボートが接触した、という説もあるが不明)すぐさまダイヤモンド・プリンセスから小型艇が降ろされOさんの捜索が行われ、救出されたが二時間後に死亡が確認された。事故原因について長崎海上保安部が調査中だ。

ルーズ船に乗ると寄港する先々で水先案内人のボートを見かける。Oさんがそうであったように彼らは永年船長勤めをした年配者が多い。水先案内人の仕事は時刻も天候も選べない。その高額で保証された収入をやっかむ向きもあるが、実は文字通り命がけの仕事なのだ。任務に殉じたOさんのご冥福を祈りたい。(情報はcruisehive comより)


  


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2023年06月02日

南極探検クルーズもあるよ〜  

回、ル・コマンダン・シャルコの北極探検クルーズをとりあげたから、今回はオーロラ・エクスペディション社の南極探検クルーズ船グレグ・モウティマー(Greg Mortimer)をとりあげてみよう。

レグ・モウティマー(7,400トン)はル・コマンダン・シャルコの1/4ほどの小型船で乗客定員は180名だが、その姿を一度見たら忘れられないほどユニークだ。船首の形がボーイング747ジャンボの機首みたいに閉鎖している。オーロラ社ではこれをUlstein X-BOWと呼ぶ。砕氷船として氷海を快適に航行できるように考えられたデザインらしい。

ーロラ・エクスペディション社は1993年にオーストラリア人の登山家で地質学者のグレグ・モウティマーと、冒険旅行家のマーガレット・ウエルナーが共同で設立した。当初は他所の船を傭船して探検クルーズを運営していた。グレグ・モウティマーは同社最初の新造船でコロナのパンディミック直前に完成した。昨年姉妹船シルビア・エアリーが船隊に加わり、いよいよ本格的な探検クルーズ事業を始めた。


来年2月3日出発するオーロラ社の南極探検12日間クルーズを例にみてみよう。集合地はプンタ・アレナス(チリ)だ。出迎えの係があなたを船が待つキングジョージ島(南シェットランド諸島)まで案内する。船の設備はル・コマンダン・シャルコに比べたら質素だが学者好みらしく上質で落ち着くインテリア。さてキングジョージ島を出港した船は7日間を費やして南極半島周辺を眺め、また南極の大地の上に立たせてくれる。最後の二日間はドレーク海峡を北上してウシュアイアで下船し帰国の途につく。その間、各種ペンギンやクジラなどに会えるかもしれない。

料金はもっとも安いカテゴリーの部屋で$15,795 (約217万円)。あちら18日間こちら12日間の差もあるが、国際航空運賃をプラスしても、オーロラの方がかなり安い。上級カテゴリー室の料金はもう書かなくてもいいでしょう。最近のクルーズ業界は20万トンの巨船に5,000人の客をつめこむ「薄利多売?(でもないか?)」商法と、1万トン前後の小船に200人程度の客を乗せる贅沢な「極上おもてなし」商法の二極化が進んでいるみたい、でもあるね。




  


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2023年05月26日

アバクロの冒険クルーズ  

かし若い頃ニューヨークに行くと、用もないのに立ち寄る店があった。それは五番街のアバクロンビー・アンド・フィッチ(A&F)で、周囲にはティファニーやカルティエなど有名店が軒を並べる敷居の高い一画だった。店内はちょうど銀座の服部時計店みたいな雰囲気で、それに日本橋の丸善と渋谷の東急ハンズをミックスしたような品揃えが魅力だった。或る売り場にはレミントンのライフル銃からテント、釣り道具やアルミ製カヌーまで展示してあり、ヘミングウエイが常連客だったという伝説にふさわしいけど、どれも高額で高嶺の花。ボクにはクレー射撃用の耳栓ぐらいしか買えなかった。

の後の半世紀でアバクロは経営者と経営方針などが変化してゆくのだが、アバクロの話題はそこまでとして、先日ふとしたはずみでアバクロンビー・アンド・ケント(A&K)の探検船クルーズ広告を見た。アバクロの名を冠しているが直接関係はない。この会社は世界の富裕層を対象にした超豪華旅行代理業だ。A&Kの創業は1962年というから半世紀余の実績があり、どんな客でも大統領や王族並の配慮でお世話をしてくれる。


なみに来年7月10日出発の北極点18泊クルーズの場合。まずノルウエイのオスロ空港に到着後、出迎えた送迎係の案内でホテルで一泊。2日目は国内線フライトでスヴァールバル諸島のロングイエールビーン港に移動。待機している探検船ル・コマンダン・シャルコに乗船、ここから北極点クルーズがはじまる。

・コマンダン・シャルコはフランスのル・ポナン社が所有する超豪華な大型砕氷船。2020年就航の3万1千トンでLNG燃料と非常用バッテリー駆動の低公害船だ。通常は135室の客室が270名の乗客を収容できるが、A&Kが運営する北極点クルーズでは乗客定員199名に限定しサービスの質と安全を維持している。(乗客/従業員比率は1:1.3)

ングイエールビーン港を発って5日間は砕氷船ならではの旅になる。船内では早速A&Kの極地専門スタッフによるレクチャーがある。船内は室内外プールをはじめジム、サウナ、バー、フレンチレストランなどリゾートホテル並みの設備がある。海は年によって氷海の様相が異なるだろうが、最新鋭設備の砕氷船と経験豊かな船長と彼のチームワークで、時には氷海を割り、時には氷塊を避けながら北緯90度をめざして進むのだろう。北極クマやベルーガ、抹香クジラなどにも会えるかな。予定では7月18〜19 日頃には目標の北極点に到達できる。状況が許されれば氷原に立ち、生涯一度の大冒険記念写真をみやげに帰路につく。復路も往路と同じルートをとってロングイエールビーンに戻り、空路でオスロを経由して帰宅の途につくことになる。

になる料金の話だが、ル・コマンダン・シャルコの客室はクラシック・ステートルームからオーナーズ・スイートまで9段階のカテゴリーがある。一番廉価なカテゴリー1の場合、この18泊クルーズの料金は$47,995(約647万円)になる。参考までにカテゴリー9の料金は$169,885(約2,267万円)でござる。ロシアの原子力砕氷船の北極点クルーズの方が少し安いかな?これは自家用ビジネスジェット機を持ってるひと向きの話題だなあ。
  


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2023年05月19日

ブルー・ドリームスター  

ロナ対応の緩和で観光業界が一気に活気づいた。商機再来と張り切ったのはエアバスA380機や超10万トンのクルーズ船ばかりではない。中国では乗客定員千人未満の小型客船も日本めざし準備をすすめている。

国に本拠をおくブルー・ドリーム・クルーズは6月から上海発着の4〜7泊日本周遊クルーズを就航する計画を発表した。日本クルーズに従事するのはブルー・ドリームスター(2万4千トン)。この船は某社の発注でトイツの造船所が建造して2001年に完成したものの、コロナ禍のあおりで眠っていたが、このほど中国船社の手で中国人客対象に改装された。当初830名の乗客定員は1050名に拡大され(大きさはにっぽん丸サイズだが、にっぽん丸の定員は449名だ)ヌードル・レストランはじめ民謡サロン、ダンスフロア、カラオケ室、みやげものショップなど中国の人々に好まれる設備を充実させた。


れで注目のクルーズ経路だが、4泊コースでは上海から長崎、門司、福岡。7泊コースになると瀬戸内海に入り広島、大阪、別府が組み合わされるようだ。おそらくクルーズ料金も安く設定されるだろうし、船なら「爆買い」したおみやげもの(炊飯器やウオッシュレット、カップラーメンなど)目方を気にしないでなんでも持ち帰ることができる。船は小さくても寄港頻度が多ければ客も多くなり大型船と変わらない。♪ブルー・ドリームスターさん ♫いらっしゃーい、だね。

  


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2023年05月12日

競争のあるところ進歩向上あり   

やれやれ黄金週間も終わった。気がつけばあたりの若葉はみどり濃い初夏の景色になっていた。報道によれば今年のゴールデンウイークの観光地は、二年間余も足止めをされた人々が堰を切っておしよせどこも大賑わいだったようだ。マスク姿も多かった。

ロナ禍に対する旅の規制がゆるめられ、クルーズ関連の広告もどっと増えてきた。気になるのは設定代金の高額化だ。高級船にビジネスクラス航空運賃を組み合わせ、プレミアム船10日間で80〜90万円、大西洋15日間で200万円、などと足元を見透かしている。停滞していた二、三年間分の旅行費を一気に回収しようというコンタンが露骨だ。日本発着4,5日間クルーズで10万円台という低料金でコツコツ育てた日本のクルーズファン層に水をかけることになるだろう。

本のクルーズファンを育てたと言えば、(不名誉なコロナウイルス集団発症事件の舞台とはなったが)ダイヤモンド・プリンセスの「功績」だろう。あれは年に一、二度程度来航する外国船にはできない努力だ。だが今年になり様相が変わってきた。MSCの台頭である。常連のダイヤモンド・プリンセス(11万3千トン:2004年就航)に対して17万トン:2019年就航のMSCベリッシマは強敵だ。MSCは秋まで横浜発着の8~9泊クルーズを続けたあと、11月からは6〜9泊のコースになり、来年1〜3月は那覇を起点に石垣島、宮古島、台湾の4〜5泊ショートクルーズで通年日本発着クルーズに定着するねらいだ。さらにコスタ・クルーズも日本市場を忘れているわけではない。競争があってこそ進歩と向上が期待できる。プリンセス、MSC、コスタが三つ巴でサービス競争をしてほしいものだ。

イラストはMSCクルーズ船隊21隻中の最新鋭MSC エウリビア(17万7千トン:乗客定員4888名)LNG焚きのグリーン・シップ。これがベリシッマに代わって日本にやってくる日は遠くないかもしれない。  


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2023年05月04日

イギリス国王の戴冠式だから  

5月6日はイギリスの新国王チャールズ3世の戴冠式だ。日本のマスコミの報道はいまひとつ盛りあがらないが、旧連合王国のマスコミ報道はにぎやかだ。クルーズ業界でも女王陛下の名前をいただいているキュナード・ラインは戴冠式に協賛するイベントがめじろ押しだ。

ギリス王室とキューナードの関係は、1861年にアルフレッド王子がアラビア号に乗船してハリファックスからリバプールまで航海されたことにはじまると言う。アラビア号は2400トンの外輪式木造蒸気船。一等船客の定員は180名、この当時から煙突は赤色に塗られ二本の黒線が引かれていた。

冠式の日、クイーン・エリザベスは西日本と台湾9泊クルーズの途上にあり、クイーン・ビクトリアはカナリア諸島12泊クルーズから帰国の途上にある。クイーン・メリー2だけは本国水域でサザンプトン・リバプール間のショートクルーズの最中だ。3隻とも式典当日は船内でウエストミンスター寺院からの実況放送が流され、乗客は祝いのカクテルと特別メニューで新国王の誕生を祝うことになる。キュナードには来年4隻目の女王クイーン・アンが加わる予定。(情報はCruise Hive より)
  


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2023年04月28日

海の上のマイホーム    

3ヶ月ほどかけて地球を廻る世界一周クルーズは船好き共通の夢だろう。ピースボートのように毎年3〜4回も航海に赴く場合はリピーターの希望を配慮し毎回コースと寄港地を変えている。一方、寄港地は二の次にした面白いクルーズ船がこの秋に登場する。

その船はMV ジェミナイ(1万9千トン:昔のスーパースター・ジェミニで1992年生まれ。現ピースボートよりも少し年長だ)。ジェミナイは新しい運航者Miray Cruisesが、この先3年間ずっと世界を周回させるという。新しい門出は来年11月1日、トルコのイスタンブールを出港し、その後地中海、カリブ海、オセアニア、アジアを廻るという。どうやら寄港先はあまり気にせず、ただひたすら海の上で暮らしたい人に満足してもらえる船を目指しているようだ。


になる料金は1年間分29,999ドル(約400万円)から。このなかに食事代からWiFi通信費、サービス料なども含まれる。家賃のように月払いにも応じるという。クルーズ会社の担当は「裏庭が世界につながってる海の上のマイホームですよ」と、うまいことをいう。  


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2023年04月21日

2023年 クルーズ船人気番付

Cruise Criticは世界最大規模と称するクルーズ・コミュニティ。世界中の700隻余のクルーズ船から発する65万件の情報を発信している、という。そのクルーズ・クリティックが2023年度クルーズライン人気番付を発表した。


考対象は大型船、中型船、小型船の3カテゴリーで、さらに評価部門が船内サービス、食事、客室設備、初心者客、総合評価、リバークルーズ部門などに分かれている。その結果大型船部門で総合一位に輝いたのが新造船スカーレット・レディで注目を集めたヴァージン・ボヤージュ。大胆なデザインもさることながら、勇気ある「お子様お断り」コンセプトでも話題になった。

型船部門ではオーシャニア・クルーズ。かた苦しいドレスコードなしでプレミアム・クルーズを満喫する地味な船旅にじわじわと人気集中してきたか。従来のマリナー、リビエラに新造船ヴィスタが加わった。

型船部門はリバークルーズ、オーシャンクルーズ、探検クルーズの三領域で活躍するバイキング・オーシャンのオクタンティスとポラリスが受賞した。残念ながらいずれも日本にいてはなかなか乗れない船ばかりです。(情報はCruise Criticsにて)  


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2023年04月13日

2023年ザ・ロープ帆船模型展観覧記 その4( 最終回)


彦澤正明さんはブードリオの著作にある船台の構造を理解するため船台の構造模型を造ってしまった。手前に置いたボールペンで模型の精巧さが判断できますね。船のキールとフレームはキットの部材を流用したが、船台は全て自作でNゲージのフィギュアを添えて雰囲気を盛りあげている。なかなか良い感じです。


マルタの貨物船は東 康生さんの作品。名もなき働き馬のような小舟だ。船首に描かれた目は、地中海沿岸の船乗りたちが、昔からのしきたりで行き先を見失わぬため描いたもの。地中海で生きる船乗りの風習。東さんのご尊父は第一次大戦時に日本帝国海軍々人としてマルタ島に駐屯された。東さんは模型を造りながら往時のマルタ島を偲んだことだろう。マルタ島の人々の息遣いも潮風といっしょに模型に作り込まれているようだ。


イクティネオII世(ICTINEO II)はスペイン(カタロニア)で1859年に造られた潜水艦。宮崎駿監督が好きそうなこの潜水艦は、まるで新巻シャケみたいだね。製作者の関口正巳さんの解説によれば、イクティネオII世の船体は水密性を保つためワインの樽を作る樽職人を動員して製作した、とある。なるほど!関口さんは内部まで精密に作り込み、それが判るよう鏡を仕込んだ。グッドアイデアだ。




以前スペインのカルタヘナ海事博物館で古い潜水艦の実物を見たことがある。(写真左の2枚。上が船首側で下は船尾側)





その潜水艦はイクティネオII世より近代化されたもので、樽職人の出番はなく金属製の船体だった。推進機は2軸のプロペラで、大きな舵板はあるが潜航舵のようなものは見当たらない。潜水艦好きの方は調べてくださ〜い。


いかがでした、ザ・ロープ展の観覧記。まだまだ素晴らしい模型がたくさんありましたが、とてもご紹介しきれません。次回は是非とも会場に出かけてください。初心者向けの帆船模型教室もあります。きっと新しい世界が待ってますよ。  


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2023年04月12日

2023年ザ・ロープ展観覧記 その3


構造模型講座とエルミオーヌの話はここまでとして、ほかの展示作品を拝見しよう。入口近くにどんと構えた大型模型はヴァーサだ。ビリングボート社の1/75キットを土台に富田俊春さんが9ケ月費やして完成させた由。『少し盛りすぎた」と富田さんは仰るが迫力満点だ。出港直後に突風を受けて横転沈没した悲劇の軍艦で、今は引き揚げられてストックホルム郊外の博物館に展示してある。中世船がお好きな人は一見をお勧めしたい。


次はヴァーサよりも半世紀ほど古い時代になる。フランダースのガレオンは独特の彩色が美しい船だ。古い帆船模型ファンならきっとTHE SHIP an illustrated History(船の歴史図鑑)でランドストロームが描くカラフルな船の姿に魅了されたはずで、製作者の安藤雅浩さんもそのひとりに違いない。美しい本が美しい模型を誕生させたのだ。


もうひとつ、本にインスパイアされた模型をご紹介しよう。福田正彦さんの古代ローマの架橋船は読書家の福田さんらしい書物「古代ローマ軍の土木技術」のイラストレーションから発想して製作したという。著者にとって脇役だった船を、福田さんは見事に主役に抜擢している。


加藤史郎さんの作品はサイドレバー・スチームエンジン。1835年代イギリスで製作された船舶用蒸気機関の模型だ。この帆もロープもないエンジンが帆船模型展に参加するのですか、なんて言わないでください。ボクはこれが戊辰戦役で活躍した榎本艦隊軍艦回天のエンジンも斯くやと思うと血が熱くなる。咸臨丸もオランダ製の横置き式蒸気機関で100馬力程度。甲鉄はフランス製の蒸気機関で1200馬力。(どちらもスクリュウ推進だった)様々な船に通じた人がいるのもロープ会員らしい。
ザ・ロープ帆船模型展観覧記は次回で最終回。  


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2023年04月10日

2023年ザ・ロープ展観覧記 その1  


久しぶりのザ・ロープ展に足を一歩踏み入れたとき、展示会場の雰囲気に微妙な相違を感じた。大型模型や大仕掛けのジオラマや模型以外の展示品が少なくなったことだ。展示の主役は本道をゆく精密な帆船模型になった、と感じた。

特別に目をひいたのは6隻の18世紀フランス海軍フリゲート艦エルミオーヌだった。この船は1781年にアメリカ独立戦争を戦うワシントン将軍を支援するラ・ファイエット将軍らフランス義勇軍を乗せアメリカへ派遣された歴史的軍艦。当時は12ポンド砲を装備していたが、時代はフリゲート艦でも18ポンド砲を載せる重フリゲート主流になっていった。フランスが海軍遺産再構築と歴史的造船技術の継承を重視して2014年に建造した復元船。現在はロシュフォールで係留公開されている。

ザ・ロープではコロナ禍の「巣篭もり」を見越し、この機を利用して腰をすえた技術の共有と研鑽をめざす技術講習会を発足させた。企画は田中武敏前会長、講師は構造模型の第一人者土屋勝司さんが担当した。ザ・ロープでは2018年にロシュフォールで開催された第一回世界反戦模型展に出品を兼ねて、同地を訪れエルミオーネの見学をしている。


実物に触れた経験は強い。教材はエルミオーネに決定。資料と図面は精巧なブードリオの出版物が豊富にあった。会員23名の受講生も集まりコロナ・パンディミック騒ぎをよそ目に地道な勉強会が始まった。

講習会は市販のキットでエルミオーネの概要をつかむことから始まった。それを終えると自分で図面を描き材料から部材を切り出すスクラッチビルドの手法に移った。辛抱強く細かな細工が続く。そして三年が経過、この春23人中19人がなんとか形が出来るまでに進む。未完成の6隻のエルミオーネが晴れて展示会に飾られた。土屋さんだけが3年間で2隻を作り上げた。さすが構造模型の先生だ。土屋さんには後でインタビューしよう。(ザ・ロープ展観覧記は次回へつづく)

第48回 ザ・ロープ帆船模型展は4月15日土曜日まで有楽町東京交通会館で開催中

  


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